ご挨拶

第47回日本高気圧環境・潜水医学会 学術総会 会長
北海道大学大学院医学研究科 麻酔・周術期医学分野 教授
森本 裕二
 第47回日本高気圧環境・潜水医学会を、平成24年11月15日(木)から17日(土)までの日程で、北海道大学学術交流会館を会場として、開催させていただきます。今回のメインテーマは“侵襲制御医学における高気圧酸素治療”としております。私たち麻酔・周術期医学分野は、救急医学分野とともに、北海道大学医学研究科で侵襲制御医学講座を構成しております。侵襲制御医学とは麻酔・手術侵襲(臨床麻酔)、疼痛(ペインクリニック・緩和医療)、臓器不全・外傷・敗血症(集中治療・救急)などの侵襲から 生体を守るための医学を統合した名称であります。この侵襲制御医学の臨床の場で、高気圧酸素治療は、たとえば血流不全、一酸化炭素中毒、減圧症などの治療等、様々な領域で活用されております。しかし、一方では、その背景となるエビデンスが不十分なため、その利用が十分に浸透しているとは言い難い面もあります。今回の学会では、高気圧酸素治療の幅広い適応の中でも、特に侵襲制御医学の領域において、その有効性を基礎から臨床的な幅広い視点で再考できる機会になればと考えております。

 北海道ではかつて炭鉱が多く存在し、それに伴い高気圧酸素治療も古い歴史があります。第18回(1983年)の本学会も、当分野初代教授である故古川幸道が会長を努めております。それを含めて、北海道では3回目の開催となりますが、今回も多くの皆様にご参加をいただき、活発な討論と晩秋の札幌を堪能していただければ幸いと存じます。